中国の邦人拘束者に対する「スパイ罪」の実相とタイ・カンボジアでくすぶる新たな紛争の火種、及び米国ニューヨークで手製爆弾未遂事件発生
1. 中国の邦人拘束者に対する「スパイ罪」の実相
中国・北京市で2023年3月に帰国直前に国家安全当局に拘束され、スパイ罪で去年、起訴されたアステラス製薬の60代の現地幹部日本人男性社員の判決公判が、7月16日に北京市の第2中級人民法院(地方裁判所)で行われ、懲役3年6月の実刑判決が言い渡された。
判決公判は日本メディアには公開されず、在中国日本国大使館の金杉大使が傍聴したが、同裁判においては、裁判長が「スパイ活動」の内容に触れ、判決を読み上げただけで、日本の刑事裁判の冒頭手続きにおける被告人が起訴状に記載された罪状を認めるか否かを表明する、いわゆる「罪状認否」はなく、それ自体が裁判前に手続き上、終了していることをうかがわせている。
中国では、2014年に「中国人民共和国反間諜法(反スパイ法)」、そして2015年に「国家安全法」が施行され、2023年7月には、「スパイ行為」の定義が拡大された改正法が施行されている。
改正法では、「スパイ行為」について、「国家の安全に危害を及ぼす活動」や「スパイ組織への参加」「国家の秘密や情報、国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料や物品の窃取や提供」など、6項目を定義しており、この中には、「その他のスパイ活動」という項目があるが、「スパイ活動」の解釈自体、恣意的なものがあり、法執行機関の透明な運用も見えず、その司法プロセスも明確なものはなく、不透明なままである。
中国側は、「中国は法治国家であり、法に基づいて対応している」というものの、その実態は西欧民主主義の仕組みとは異なることは明らかである・・・・・
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2025年7月28日
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