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「香港国家安全維持法」の施行で、今後起こり得る香港ビジネスへの影響と見通し

(主要点)
1.「香港国家安全維持法」(以下「国安法」と略称)の条文解釈が曖昧で、企業が手探り状態
2.貿易・司法ハブ地位低下の可能性
 ・「国安法」により「報道や研究が萎縮する可能性も」-今後の日本への影響
 ・日本人の記者や学者が日本で行なった中国批判により、中国や香港訪問時に拘束・逮捕される脅威

1.在香港の外国企業に新たな難題が浮上-法解釈が北京の意思を反映
(1)「国安法」が、日本企業を含めた新たな難題を突きつけている。同法の条文が曖昧で、当局による解釈の余地が大きい一方で、厳しい罰則は明確に示されている。何が許されて、何が許されないのか?手探りの対応が始まっている。
欧州系銀行の香港拠点のリスク管理責任者が、匿名を条件に同法の条文について語ったところによると、「香港人も外国人も同じように逮捕でき、中国本土に送還できるという公安機関に与えられた権限にとても驚いた」「データ管理に関する条項などはどのようにでも解釈できてしまう」という。
同行は、顧客サービスを維持しつつ、いかに中国政府を刺激しないようにするか検討を開始したが、中国との対立を深める米国の規制当局への対応も念頭に置く必要があり、板挟みの状態である。
(2)「国安法」について企業を含めた多くが懸念しているのが、条文の読み方次第で非常に重い刑罰が科せられてしまいかねない点である。例えば、外資にとって、何が「外国勢力との結託」とみなされてしまうのか?
当該法は、企業が同法を犯した場合、罰金に加え、営業許可や免許の剥奪をすると明記している。さらに、香港域外でも法に抵触する行為と認定された場合、国籍にかかわらず、香港に入境した時点で逮捕されることもあり得る・・・・・

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2020年7月13日

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